リモートワークはメリットばかりではない
ブログではごぶさたとなります、ヨカラボ天神支配人の村橋です。
福岡近郊においては新型コロナウィルス感染症(以下「コロナ禍」)に加えて最近の豪雨災害もあり、継続的に被害に見舞われて大変な状況が続いていますね。
本題ですが、今回のコロナ禍の影響で、大半の企業がリモートワークを導入していたと予想いたします。
弊社でも例にもれず、リモートワークができる環境を整え、5月末までは出勤が必須な従業員以外は全員リモートワーク勤務としていました。
実際に導入をしてみての弊社での結論としては、今回のコロナ禍のような非常事態以外では今後例えば無条件に従業員全員をフルリモートワーク勤務とすることはありません。
理由はデメリットが大きいからです。
個人的にはリモートワークが従来の働き方よりも優れている働き方的なアピールをされているのが納得いきませんので、今回の記事では弊社での導入した実例も踏まえてリモートワークのデメリットを説明したいと思います。
①仕事モードに切り替えにくい
これは以前の記事でも書きましたが、自宅で仕事をすると仕事とプライベートの切り替えがしづらくなります。https://yokalab.jp/blog/post/146
就業開始時、もしくは就業時間中はカメラをオンにして確認している企業が多いと思いますが、例えば9時出社の場合、9時時点でカメラの前にいれば良いので、直前で起きて顔も洗わなくてもカメラの前にさえ行ければリモートワーク的にはOKです。しかしこれで完全に仕事モードに気持ちを切り替えられているとは思えませんよね?実際弊社でも寝癖でいかにも今起きたばかりのような状態でリモートワークをしていた従業員がいました。
身なりを整えて自宅から職場に移動することで完全に仕事モードに切り替えられる方が多数だと思いますので、自宅でも気持ちの切り替えができる人でないとリモートワークで出社時と同じパフォーマンスを出すのは難しいでしょう。
ちなみに私が以前から自宅で仕事はしないようにしている理由としてはこれが一番大きいです。
②効率が落ちる可能性が高い
前述の気持ちが仕事モードに切り替えにくいこともそうですが、自宅だとテレビやゲーム等の娯楽や、睡魔、お子さんがいらっしゃる場合はその相手等の誘惑が多いため、効率が落ちる可能性が高いです。実際、弊社でリモートワークを全体導入した際、全体的な仕事の進捗が明らかに悪くなりました。更には全員出社で対面で確認できていれば起きないような確認漏れによるミスで作業のやり直しが発生し、納期が遅れるという事態も起こりました。
逆に自宅で雑音が無い状況の方が集中して効率が上がるという人もいると思います。しかし実例から判断しても特に若い世代だと効率が落ちるケースの方が多いのではと個人的には感じます。
③従業員同士のコミュニケーションが取りづらくなる
当たり前の話ですが、全員がリモートワークの職場と、全員が出社の職場とどちらが早く打ち解けることができるのかは一目瞭然だと思います。特に入社してすぐにフルリモートワークとかであれば中々既存メンバーの輪に入るのは難しいのではないでしょうか?
これから更にテクノロジーが向上しあたかも遠くの人がそこにいるかのように投影できるような時代になったとしても、やはり実際に生身でコミュニケーションを取るということはビジネスでもプライベートでも永遠に必要なことだと私は考えます。
④社員教育がしづらくなる
マンツーマン等での質疑応答による社員教育はリモートワークでも可能ですが、新人が成長するにあたってはやはり上司や先輩の働きぶりを見て覚えるということも大事なことだと思います。例えば営業職や電話サポート業務等は、他のメンバーの実際の対応を見聞きして参考にするケースも多いでしょう。
更に出社時に近くにいれば気軽に聞けて1分もかからずに解決するようなことも、リモートワーク時だと度々の質問がしづらく、それで作業が止まってしまったり誤ったまま進めてしまったりということが発生すると思います。そのような状況下で進捗が遅くできない自分を責めて悩んだ結果退職を決意したという事例も聞きました。
独り立ちできていない新人には特にリモートワークはマイナスが大きいと感じます。
⑤セキュリティが低下する
リモートワーク時は会社PCを自宅に持ち帰っての作業が基本だと思いますし、弊社のようにクライアント様の業務システムを担当していると個人情報を取り扱ったりもします。そのためにどこも最低限のセキュリティ対策はしているでしょうが、どんなに対策をしても以下のようなケースが発生する可能性があります。・自宅にいる他の家族に個人情報等の機密情報の画面を見られる。
・リモートワーク中に自宅に恋人/友人/知人がいるケースで悪意を持っての情報漏えい等をされる。
※リモートワーク中に恋人等がいるケースはSNSや実際に聞いた話でも多数発生していますし、家族よりも悪意を持って犯行に及ばれる可能性が高いと考えます。
・従業員に悪意があれば出社時よりも自宅の方が何かしらの犯行を起こしやすい。
当然自社の従業員やその家族や友人を疑いたくはありませんが、隙ができれば魔が差してしまう可能性は上がりますし、どういう対策を実施していてもリモートワークによりセキュリティが低下することは避けられません。
⑥経済が回りにくくなる
会社に出勤するから交通費を使うし、退社後の帰り道での買い物や外食等でお金を使う機会が増えるわけなので、リモートワークになるとその機会が失われます。「節約できるから良いじゃないか!」と思われる方もいらっしゃると思いますが、国民全員の消費行動が大幅に減少すれば経済が回らなくなり、結果あなたの給料の元になっている売上にも影響します。
それに利用者が激減して鉄道会社が倒産したら困りますよね?実際、今回のコロナ禍の影響で鉄道会社は大打撃を受けています。
https://diamond.jp/articles/-/242140
通勤で使わなくても自分が使いたい時だけ使いたいとか言ってる人は、きっと数年に一回くらいしか行かなかったお店の閉店が決まった時に「良いお店だから続けて欲しい」とか無責任なこと言う人でしょうね。
■あとがき
上記のとおり、リモートワークにはデメリットも多く、そのデメリットは会社だけでなく雇用者や経済にも影響します。サラリーマン等の雇用者の方にお願いしたいのですが、リモートワークを積極的に導入していない企業を「従業員のことを考えていない」「時代に乗り遅れている」等、一概に非難しないでいただきたいのです。
上記等のデメリットを考慮し、自社のことだけでなく従業員にも配慮しているからこそあえて導入していないケースもあるはずですので。
そして政府やマスコミ等もリモートワークのデメリットも考慮せずにやみくもに推奨するのをやめていただきたい。
私はリモートワークが普及すること自体を否定しているわけではありません。何らかの事情で出勤しての勤務ができない人にとってはリモートワークによって就職先の選択肢が増えるでしょうし、企業にとっても出勤前提だと獲得できない優秀な人材を雇用できる可能性が拡がります。
フルのリモートワークではなくても、例えばインフルエンザ等のウィルス性の病気回復後の感染リスクのために出社できないというケースや台風や水害等で出社が困難という場合にも、リモートワークをできる環境を整えていれば仕事を休まずに済みます。実際、弊社ではリモートワークができる環境は整えていたため、今月九州が被害を受けた豪雨災害の際、出勤が難しい従業員はリモートワーク勤務という対応が取れました。
リモートワークは、企業にとっても雇用者にとっても新しい働き方として活用できる『選択肢の一つ』であり、既存の出勤して働くかたちよりも優れた働き方であるわけではないということを理解した上で、うまく活用していただけたらと切に願います。