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カテゴリー: 3D関連

【レビュー】デルタ型3Dプリンター「MAESTRO」を組み立ててみた

こんにちは、ヨカラボ天神スタッフくろきです。
ヨカラボ天神には色々な3Dプリンターがありますが、この度新たに、デルタ型の3Dプリンターが増えました!

3DプリンターMAESTRO(マエストロ)
[MAESTROの主な特徴]
★最大造形サイズは
Ø22cm x H 32cmと、かなり大きめのものが造形可能
★積層ピッチが最小0.05mm(~0.3mm)
★自動水平校正機能

★今後ノズルの付け替えによる拡張オプションの利用が可能になる予定(デュアルヘッド、レーザー等)

サンプル写真をみると精度もなかなか良いようで、さらに大きいサイズも出力できるということで非常に楽しみです!

ちなみに完成品も販売されていますが、今回はDIYセットを購入したとのことなので、全て自分で組み立てます。
な、泣いてなんてないんだからー。

なお今回の組み立てではありがたいことに、ヨカラボ天神の常連さんお二人(百戦錬磨の猛者)に手伝っていただきました!
お一人は「3Dプリンターでお家は工場になるか!」という3Dプリンターに関するブログを運営されております。
偶然にもMAESTROが届く直前まで、おふたりは他のデルタ型3Dプリンターの組み立てをされていました。
制作の様子はブログに書かれていますので、興味のある方は要チェックです!

早速、届いた箱を開けてみるとシャレオツに配列されたボックスが。

ありがたいことに丁寧に手順が書かれた日本語マニュアルもついていました!

…が、しかし!
くろきは電子工作のどしろうとだった。
「どの色の線を切れば助かるんですか!」

「果たして本当に電子工作しろうとが組み立てることができるのだろうか…」という一抹の不安に駆られながらも、買ってしまったものは完成させなければ意味が無い…、さっそく組み立てに取り掛かります。

全体の流れとしては、
フレーム(外枠)の組み立て→スライドレール・ベルトの取り付け→ノズルの組み立て→エクストルーダー(フィラメント送り)の組み立て→LCD画面と電子ボードの取り付け→電気配線→ボードの取り付け
といった感じです。

まずは作業に必要な部品を確認します。

骨格を作ります。フレームを組み立てて、3軸用のモーターをそれぞれ取り付けます。
このフレームの組み立て作業…意外と一番の難所でした。

縦方向に配置するフレームの先端には一箇所だけネジきりのついた穴があり、その穴が組立後に「外側にくる」かつ「底面にくる」よう、計画的に組み立てなければいけません。

ここを間違うと、最後の最後「もうちょっとでできるー!」というところで足部品が取り付けられず、ふりだしへ戻るという恐怖のリスタートが待っているそうです。
私自身はその罠に気づきもしませんでしたが、幸運にも百戦錬磨の常連さんに教えていただきました。ありがたや…!!
ちなみに、その罠の回避方法はマニュアルの片隅に文章だけでそっと書いてありました。
マニュアル熟読は大事です。

次に縦フレームの内側にスライダーを取り付けます。
(写真の銀色の長い部品がスライドレール、レールの先にある黒い部品がスライダーです)

このスライドレール、非常に取扱い要注意な部品です。

スライドレールに付いている部品を外すと、小さい銀の玉がたくさん入っているのが分かります。(本当は取り外しちゃだめです!)
これがついうっかり外れると…中の玉が四方八方に散乱してしまうという悲劇が!
ちなみに外しちゃだめなやつの中身をなんで知っているのかって…もうお気づきですよね!
組み立てられる方は気をつけてください。落下防止具の固定は大事です!(切実)

次はノズル部分の組み立てです。
マニュアルではさらに両サイドにファンが2つ付く予定でしたが、サイドファンは後納品ということなので、今回の組み立てでは取り付けは行えませんでした。
ノズルセンサーの取り付けについて「???」となる部分がありましたが、何も考えずとりあえずマニュアルどおりにやれば…後々なんとでもなります。迷わず行けよ、行けばわかるさ!

次にエクストルーダー(フィラメント送り)を組み立てます。
MAESTRO(というかデルタ型)の場合、エクストルーダーはノズル部分ではなく、上部にあります。

AFINIAの場合は、ノズルのすぐそばにあります。

エクストルーダー部分の拡大。指で押さえている黒い部品が矢印方向に動きます。
ここを押さえることによって中に空洞ができて、フィラメントをエクストルーダー内に通すことができます。
白い細い線がフィラメントです。
調整を行ったら、上部に設置します。

組み立てていたノズルを本体に取り付けますが、MAESTROのノズル接合部分、およびロッド部分はマグネット式になっており、手軽に取り外しを行うことができます。

次にLCDと電子ボードを取り付け、配線作業を行います。
こういう状況を見慣れない私にとっては、もはやドラマに出てくるただの爆発物にしか見えない…。

一見難しいように見えましたが、以下のように端子に収まったものを所定の場所に差すだけだったので、マニュアルをよく見ながらやれば簡単にできる作業でした。

配線が終わったら最後にボードを取り付けて…
じゃじゃーん、完成!!

写真で見るとすぐにできたように見えますが、ここまでの所要時間はだいたい30時間程度。
最初のフレームの組み立て間違いや、ちょいちょい発生したトラブル(後述のマイクロスイッチの取り付け等)によって時間がかかった感じです。
マニュアルをよく読めば、もっと早く組み立てることができるんじゃないでしょうか。

マニュアルといえば、後から送られてくる正誤表。
あたりまえですが、正誤表の確認は組み立て前に絶対に必須です!
この確認を怠ったがゆえにあらぬトラブルに見舞われました…。

例えばマニュアルP.10のマイクロスイッチ部品の取り付けについて。
マニュアルには「アルミスペーサー(4mm)」と「アルミワッシャー」という図と文章で別々の表記、いったいどっちの部品を使うんだ…と悩んで「アルミワッシャー」を付けたところ、正解はなんと…
ど っ ち で も な か っ た !

実際には、正誤表にのみに記述のあった「ナイロンチューブ」が正解でした。

気づかずに金属製のワッシャーを付けたまま稼動させたところ、水平自動校正がうまくいかず、金属製のワッシャーに電気が通ってしまい誤作動の原因になっていたようです。
「ナイロン」にしたのには意味があったんだね…

そんなこんなで回り道はしてしまいましたが、なんとか完成までこぎ付きました!
さっそく、30cmの高さのボックスをテストプリントしてみました。
ながーい。

プリンター本体は完成しましたが、本当の戦いはこれからなのです。
MAESTROではAFINIAやCubeのように統合ソフトがついておらず、「スライサー」を使って、3Dデータ(STL)をGコードに変換してプリントする必要があるのです。

「Gコード」と「スライサー」について

Gコードとは、3Dプリンターへの直接の命令文です。
3Dデータ(STL)データを3Dプリンターでプリントするためには、一度3Dプリンターへの直接の命令文である「Gコード」に変換しないといけません。
3Dデータ(STL)をG-Codeに変換するものを「スライサー」、G-Codeを解釈してモーターやヒーターをコントロールするものを「ファームウェア」といいます。

AFINIAやCubeではこの「スライサー」と「ファームウェア」がひとつになった、専用の統合ソフトがついていますが、MAESTROには統合ソフトがついていないため、3Dデータはこの「スライサー」を使ってGコードに変換する必要があります。
スライサーでは細かい設定を必要とするため、3Dデータや3Dプリンターについてある程度知識がないと、操作はかなり難しいと思います。
プリントの手軽さを求めるならば、AFINIAが無難かなと思います。
そのぶん、AFINIAやCubeでは手が届かなかった、材料・スピード・温度・積層ピッチ・肉厚などの細かい設定が可能になります。
※参考:MAESTROで利用可能なスライサー「Kisslicer(推奨)」「Cura

そう、プリンターを完成させたことで、いまからこのスライサーとの格闘が始まるのです…!ゴゴゴゴゴ
 

MAESTROまとめ

★日本語マニュアルがついているので、DIYセットは時間をかければ素人でも組み立て可能
★低価格FDM方式3Dプリンターとしてはかなりサイズの大きいものが造形可能(最大Ø22cm x H 32cm)
★統合ソフトではなくスライサーを利用するため、材料・スピード・温度・積層ピッチ・肉厚などの細かい設定が可能に
★自動水平校正機能

★造形物を冷やすファンが2つつき、造形物を急速に冷やすことができるので、一般的にサポート材が必要な形状も、サポート材なしで造形が可能らしい(ファンがないため未検証)
★プリントしてみたところ、積層はかなり綺麗
★価格参考:DIYセット¥285,000(税別)、完成品¥335,000(税別) ※2015/6/13現在

【デメリット】
★AFINIAやCubeのように専用の統合ソフトがついておらず、スライサーの操作が必要。3Dデータや3Dプリンターについてある程度知識がないと操作が難しい
★プリントの手軽さを求めるならAFINIAのほうがおすすめ
★現時点ではフィラメントはPLAのみ対応(ただし、ABSは現在開発中で7月頃に販売予定)

これからプリントや調整を繰り返して、使い勝手を検証していきたいと思います!
なおMAESTROもAFINIAなどのように、セルフプリントとしてサービスを行う予定ではありますが、調整が難しいためサービス開始の時期の予定はまだ決まっておりません。ご了承ください…!m(_ _)m



※3Dプリンター関連業務は、2019年末に終了しております。
お問い合わせ頂いても対応できかねますので、ご了承いただきますようお願い致します。


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くろき

くろき

元ヨカラボスタッフの黒木です。 現在オリノスのデザイナーとして働いています。よろしくお願いします。

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